ミッフィーの 日記を書こう3(妄想編)※長文

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※〇月〇日
緊急事態宣言というものが出されて外出してはいけないことになってだいぶ経つ。
新しいウィルスが世界的に流行しているのだ、すごい勢いで。

学校はずっと休校。
たしか最初は、ひと月だけと言われていた。ひと月たったら、もうひと月延期になった。不安になった。また追加になった。その月が終わる頃、またひと月延長すると発表になった。そのうち、何も期待しなくなった。休校延長のお知らせが出ても何とも思わなくなった。

あたしは起こされるから朝起きて、のろのろと自習をし、オンラインで塾の授業を受け、夕方に近所を散歩する。

…休校になったのはいつからだったろう?思い出せない。なんだか記憶があいまいだ。受験生だから、勉強を頑張らないといけないのに…え、受験てなんだっけ?頭に靄がかかったようになる。
テレビの番組が減っているような気がする。ネットがつながらない時間が増えた。外国では暴動が起きているそうだ。スーパーの棚の食品が減ってきているとママが言っていた。
「そんなに心配しないで」とママは笑うが、あたしが見てないときにママがしくしく泣いているのを、知っている。…
あたしは、もう何も考えちゃいけない、と思った……


泣きながら目を覚ました。
怖い夢だった。
頭がしばらくしびれていた。
ずいぶん長い間眠っていた。

ママに夢の話をした。すごく苦しかったのって言った。
ママは、「昔のことを思い出したのね、かわいそうに」って言った。ごはんに冷凍バナナを追加してくれた。とても優しかった。

医療セクションに行った。長い間寝てたので、歩くと少しフラフラする。
健康診断を受けた。血液とか、CTスキャンとか、レントゲンとか、そういうのだ。めんどくさいけど、決まりだから。

先生にいろいろ聞かれた。
夢の話をしたら、こんど長く眠る前にはお薬を出しましょう、なるべく怖くない夢になるように、と先生は言った。ありがたかった。
先生は人間じゃないから、夢とか怖いとか本当に理解できるのかはちょっと疑問だ。


※〇月〇日
今日はあたしが食事当番。
農業セクションに行って、畑で野菜を収穫した。
レタスと、きゅうりと、トマトがちょうどいい感じだった。畑ロボットのみんなに挨拶する。
太陽がまぶしい!まぶしくてうれしくなる。本物の太陽はもっともっとまぶしかったよね。そんな気がする。

※〇月〇日
今日の昼ごはんは最高だった。パンケーキにフルーツとクリームを山盛り!
こまちにあげられたらいいのに。いつもこまちは、食事しているあたしたちの足元を転げまわってごろごろ言うの。
食堂の窓から新緑の景色が見える。パパとママは新緑が好きだ。あたしも。

いろんな景色が選べるけど、グランドキャニオンとかナイアガラの滝とか、ケニアの草原とか、パリの街なみとか。九十九里浜や箱根の芦ノ湖だってある。
でもうちは新緑がいちばん好き。VRだから凄い景色だと落ち着いて食べられないしね!

※〇月〇日
この日記に書いてる日付は、食堂のカレンダーに出てるのをそのまま書いてる。
本当は何年の何月何日なんだろう?パパとママに聞けばわかるのかもしれないが、あんまり気にならない。

ここにはあたしたち家族以外はもういなくなった。他に何家族かいたが、皆帰らぬ人となってしまった。そのころは悲しくて泣いてばかりだった。

でも今は平気。淡々と目標に向かっている。勉強することは山ほどある。寂しいときは、こまちを抱っこしてモフモフしてる。とても気持ちよくて人工の毛とは思えない。


※〇月〇日
また長く眠った。
今回はそんなに怖い夢は見なかった。良かった。

パパとママは急にすごく歳をとった気がする。「中年になったらどんどん老けるのよ、坂を転がり落ちるように」ってママは笑った。


※〇月〇日
あたしの勉強ノルマがどんどん増えていく。。
田中先生が講義してパパとママがいろんなことを実践授業してくれる。
正直けっこう厳しい!でもがんばるよ。新しい世界を作るのにあたしだって貢献したい。
もう子供じゃないもん。のんびり屋さんて小さい頃から言われてたけど、やるときはやるんだから。
AIの田中先生は本当になんでも知っている。
あたしももっと田中先生みたいにかしこく、パパとママみたいに強くなりたい。


※〇月〇日
長く眠ったあとは、不思議な感じだ。だいぶ慣れては来たけど、しばらく体がフワフワする。

パパとママはまた老けた。

※〇月〇日
今日は音楽会をした。パパのピアノ伴奏でバイオリンを弾いた。小曲をいくつかと、メンコンを弾いた。

練習不足だから、音程ひどいし速いパッセージがぼろぼろ。ラストは、甲子園でホームに帰ってくる人みたいにつっこんだ!
ママは涙をながして笑ってた。そんなに面白すぎたのかなあ??
それにしてもパパは上手だった。そんなに練習してないはずなのに、ぜんぜん腕が落ちない。パパって天才だったのかな。

※〇月〇日
やっぱり、パパとママはすごく年取った!ぜったい。なんだかおかしいと思った。ぜったい様子が変だ。

もしかして病気なの?って思い切って聞いてみた。
元気だよ、年とると疲れて見えるんだよって二人とも言う。

二人とも、何か隠してる??心配な気持ちが消えない。今日は長く寝る日なのに。

※〇月〇日
起きてきたら、パパとママがまた弱っていた。
あたしは、泣いた。
本当のことを聞かされた。
あるとき、睡眠装置がひとつを残して壊れたのだと。

途中からあたしだけが冷凍睡眠をしていたのだ。

あなたがこの次の冷凍睡眠から目覚めるときは、おそらく二人ともいないだろうと。

パパとママはあたしをだきしめて、話を続けた。
パパとママが死んだあとも、あたしは予定通り冷凍睡眠を繰り返してU35にたどり着くのだと。そして移住用にプログラムされたアンドロイドたちと一緒に井戸を掘り植物を栽培して生きるのだ、と

幸運にめぐまれれば、他の船がU35のどこかに到着する。我々の後に3000隻出発したときいている。きっと数隻はたどり着くだろう。合流して新しい世界を作るのだ。

何があっても希望をすててはいけない、と

「約束して、決してあきらめないって」
ママの目力は昔からすごい。
あたしが嘘をついたりごまかしたりしようとしても、ママの目に見つめられるととてもかなわなかった。
あたしは、今、ママに負けないくらいの目力でママを見つめなきゃいけないと思った。
ママとパパを安心させる。ぜったい。それが最後のプレゼントだ。
「約束する!」
笑顔で言えたと思う。涙でべろべろの顔だったけど。
一週間後、あたしはまた冷凍睡眠に入る。
眠りにおちる最後の瞬間まで、笑顔でパパとママの顔を見続けようと思っている。
(了)

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この記事へのコメント

ぷに
2020年05月06日 20:00
文才ミッフィー、手塚治虫?星新一?この小説の内容が実現化されませんように。あんまり上手なのでびっくりしました。
さんげん
2020年05月06日 22:39
ありがとう😃
駄文です。。。
そうですね、自分は手塚世代だなーって改めておもいました😃